【発達障害を会社に取り込む】
■発達障害のある子就職は本当に大変!!
まず「社会的な困難を抱える若者」の代表例として、発達障害の人の就職事情について。
「発達障害のある子の就職は本当に大変」と話すのは、福山市立大学教育学部児童教育学科 平野晋吾 准教授。睡眠が生活リズムや発達障害に影響し、就職や経済的な損失が発生することをテーマに研究を進めている。
発達障害や後述する自閉スペクトラム症の人たち(障害者)については、支援する側(家族や学校、企業)も各シーンで困りごとが存在する。仕事に従事すれば会社に費やす時間は長い。
読者の皆さんは、現時点で「発達障害をどう捉えている」のか? 多くはこういうことではないだろうか?「(能力が)1カ所衰えている人・意思表示できずに迷惑をかけている人、当たり前(のようなこと)ができない」など。
■「辞める・戻れない」突然退職あるある
残念ながら発達障害者(後に分かった事象も含む)を雇用して、退職された例もそこそこ耳に入ってくる。
ある中小企業のA社長(製造業)元気な若手社員が入社、毎年1、2人程度は新入社員を迎えている。ここ数年は女子社員の入社が多く、入社数年経過すると結婚し、出産を迎え産休・育休を毎年誰かが取っている状態。そこに元気な社員が入社。男性。
絵に描いたような元気さと素直さが社内でも評判に。
ところが入社1カ月後、突然遠方の実家に帰らなくてはならないと言い、退職代行を使ってそれっきり。
後々分かったことだそうだが、実家に帰らなくてはならない理由は本人の思い込みで、実家(親)は特に望んでもいなかったようだ。何らかの家庭環境をおもんぱかって「これは僕が帰らなければ!」と判断したようだ。
B社長。とある施設を運営。勤務は2年程度ながら40代男性社員が、勤務先では給与アップが見込めないことから高い賃金を求めてキャリアアップを目指すため退職。キャリアアップに勤しみ、遠方の別の施設に就職。男性社員の抜けた穴は、他のスタッフがカバー。その甲斐あってか、他の社員は役割分担しながらスキルアップに成功。
1年後。退職した男性社員がひょっこりと登場。B社長に出戻りを懇願。カバーしてきたスタッフらは復帰に大反対。戻したいが戻せない状態となった。
人材不足の昨今、出戻りの「アルムナイ採用」、社員の知り合いなどを紹介する「リファラル採用」なる文言が散見され、背に腹はかえられぬ採用手法が各社で行われている。
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